引きこもり英語学習法

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共同主体型の動詞

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時には、動詞のもつ性質がその行為の対象の属性をある程度絞ることがあります。

「read」なら対象は広く「読み物」を指し、「eat」なら対象は広く「食べ物」指し示しています。

そのため目的語を省略して自動詞として使用すれば、「I read.」で読書をする、「I eat.」で食事をするという意味合いになる。

日本語でいうところの「名詞+をする」の表現に変わる。

こういった類の動詞を私は対象内包型の動詞と呼んでいます。

 

それとは別に、動詞の持つ性質が、行為の対象だけでなく行為の主体へも影響を及ぼすことがあります。

たとえば「戦う」という行為は、行為の主体が複数存在していることを前提としています。

つまり一方が戦うとき、必ずもう一方も戦うことになります。

戦うという行為の性質上、どうしても行為の主体が複数発生することになる。

こういった複数の主体が双方向にやり取りをすることで行為が成立する動詞のことを相互動詞といいます。

私は個人的に「共同主体型の動詞」と呼んでいます。

そしてこの「共同主体型の動詞」の多くは自動詞です。

何故なら、複数存在する主体の間だけでエネルギーのやり取りが存在しており、けして他者へは作用しないからです。

 

Musashi and Kojirou once fought on Ganryujima.

[武蔵と小次郎はかつて巌流島で戦いました]

武蔵にとって小次郎は「戦う」という行為の対象ではなく、戦うという行為を共に成立させる共同の主体仲間です。

小次郎にとっての武蔵も、また然り。

故に二人そろって戦うという動詞の主語になるわけです。

この場合、「fought」の後ろに置くべき行為の対象を見つけらる人なんていないでしょう。

「戦いを戦う」なんて言い方はしないわけですから。

それはすなわち、「fight」という動詞が行為の対象が存在しない自動詞であるということの証明です。

 

強いて「~を」という言い方で表現するなら「喧嘩を戦う」ですね。

武蔵と小次郎が巌流島で「喧嘩を戦った」、これでもまあ意味は通ります。

現に「fight」には「喧嘩をする(暴力あり)」という意味もあります。

「喧嘩」じゃなくてもっと別の次元の戦いを言い表すときは、自動詞を他動詞化して喧嘩の部分を別の目的語で書き換えます。

「fight a war」なら「戦争を戦う」になりますし、「fight a lossing battle」なら「負け戦を戦う」になしますし、「fight an election」なら「選挙を戦う」という意味になります。

 

もう一つ例文を見て見ましょう。

Goku and Freeza on Planet Namek.

[悟空とフリーザはナメック星で戦いました]

この文は、複数存在する主体をまとめて主語にした文章ですが、単体を主語にして言い表すこともできます。

文章上で、行為の主体を分離させるわけです。

このとき、主語に置かれなかった行為の主体は、別の形で文章に登場します。

あくまでも「fight」の本質は複数形主語の自動詞だからです。

Goku fought with Freeza on Planet Namek.

[悟空はナメック星でフリーザと戦った]

この場合、フリーザは戦うという行為の対象ではなく、あくまでも悟空と同じ戦うという行為の主体です。

戦うという行為を軸に「主体か対象か」という視点で見た場合、悟空とフリーザになんら違いはありません。

元を正せば同じ「fight」の主語です。

それを分離させて一方を主語に置き、もう一方を「with A」の形で修飾語句として追加情報的に置かれているだけの話。

ちなみに「with」の語源は「分離する」でして、ここで「with」が使われるのしごく納得です。

もちろん普通に敵対を意味する前置詞「against」を使うこともできます。

 

他にもよく似た共同主体型の動詞として「compete」という動詞があります。

競い合うという意味です。

これも行為の性質上、必ず行為の主体が複数人存在することになりいます。

そもそも接頭語の「com」には「共に」という意味がありますんで、主体が複数発生するのも当然です。

日本語的に「名詞+をする」という形で言い変えるとすれば「競争をする」ですね。

Will you compete in the race?

[レースで競うつもりですか]

場合によっては競う相手の存在を明示しないことがあります。

これは相手のことはどうでもよくて、話の重点が主語の状態変化にあるからです。

自動詞の本質は主語の状態変化です。

つまり「あなたはそのレースで競う状態になるのか」という意図の質問で、レースに出場するのか否かを聞いています。

なので、「compete in A」で「Aに参加する」という意味合いになります。