前置詞「of」は分離を意味しており、「A of B」でBから分離されたAという意味が生まれます。
この「A of B」が、「Bの中にあるAという資質」という意味で使われることがあります。
He wants to make a criminal of me.
これは、彼は私の中にある犯罪者という資質を作り上げようとしている、という意味になります。
つまり、彼は私を犯罪者にしたてあげたがっている、という意味です。
「make A of B」で「BからAを作る」という意味になる所以です。
My daughter is an angel of a girl.
これは別に、天使には男の子の天使と女の子の天使がいて、うちの娘は女の子の天使です、っていう意味ではないです。
「an angel of a girl」は女の子の天使という意味ではなく、女の子の中にある天使という資質、のことを指しています。
「My daughter is an angel.」って言ってしまうと、私の娘は空想上に存在していると言われている天使そのひとです、と言い切っている感じになってしまいます。
そうではなく、少女の中に性質として存在している天使だ、というのが、「an angiel of a girl」の表す意味です。
「A of B」は「Bの中にあるAという性質」という意味にもなれば、その逆の「Bという性質を持つA」という意味にもなります。
Shall I see the wisdom of you?
[あなたの持つ知恵を見せてもらいましょうか]
この文章はこれまで同様に「Bの中に存在するAという性質」という意味での「A of B」です。
つまり「性質 of 人」の並びになっています。
しかしこれが逆転することもあるんです。
Albert is a man of wisdom.
[アルベルトは知恵の人です]
これは「Bという性質から生み出されたA」というニュアンスの「A of B」になります。
「人 of 性質」という並びになります。
「A of B」はBから分離されたAというのが根本的な意味ですが、分離といっても完全に切り離されたわけではないです。
Bから分離して、その結果Aが完全に独立しているということではなく、いまなおBと繋がっているAという感覚があります。
なので「A of B」で「Bという性質を持っているA」という繋がりを示すことが出来るわけです。
いわば「Bという性質から生み出されたAという人物」といった意味合いです。
これを「主語+be動詞+of」で表現されることがあります。
The man is of wisdom.
[その男は知恵を備えている]
これは性質の所有や性質の具備を表す「of」です。
一般的には「記述のof」とも言われています。
My wife is of beauty.
[私の妻は美を備えている]
「beauty」は名詞ですが、性質としての美のことをいっているので、別に冠詞は要りません。
ただ、美人という意味で使う場合は冠詞が必要ですし、性質のことではないので性質の所有や具備を表す「of」はその場合必要ありません。
My wife is a beauty.
[私の妻は美人です]
性質の所有や具備を表す「of」のあとには名詞が続くことになるわけですが、同じようなことを普通に形容詞だけで表現することもできます。
My wife is beautiful.
[私の妻は美しい]
とまあ、己の妻の美しさを表現する方法はこのように色々あるのですが、「be of 名詞」はどちらかというと堅い表現で、あまり一般的な言い回しというわけではありません。
形容詞で表現するのが最も一般的でしょうか。
そもそも、そんな自慢をしないのが何より一般的です。