take on a life of its own
日本語と英語で言い回しが違うっていう表現はたくさんあります。
たとえば、自分がなんとなく口にした発言が、その後自分の意思とは関係なく良くも悪くも次々に世の中に影響を与えていったとしましょう。
そんな時日本語では「私の発言が独り歩きしている」なんて言い方をします。
でもこの「独り歩き」という表現は日本語において浸透した言い回しであって、それをそのまま英語に直訳して「walk alone」なんて言っても駄目です。
いや、意味はなんとなく分かってもらえるとは思いますが、もっと英語の世界で浸透した言い回しがあるんです。
それが「take on a life of its own」です。
「take on」は他動詞+副詞からなる句動詞で、いろんな意味に使われますが、この場合「とある性質や外観などを持つようになる」という意味で使われています。
Her face took on a fierce expression.
[彼女の顔は険しい表情を身にまとった]
「a life of its own」は「それ自身の命」という意味です。
つまり「take on a life of its own」とは、「それ自身の命を身にまとったかのようになる」という意味です。
一見すると何のことを言っているのかよくわかりませんが、これで日本語でいうところの「独り歩き」の意味になります。
独り歩きという日本語を辞書で調べると次のようにあります。
当初の趣旨や意図とは関係なく勝手に動いていくこと。
つまり、それ自体がまるで独自の命を持って動いているかのようになる、という意味なわけです。
私の発言がまるでそれ自体の命を持っているかのような様相を呈してきた、という文章はすなわち「私の発言が独り歩きしいる」という意味につながるのです。
It seem that my words are taking on a life of their own.
[私の言葉が独り歩きしているようだ]
Just one part of what he said got picked up by the media and took on a life of its own.
[彼の発言のほんの一部分がメディアに取り上げられ、独り歩きした]
Slowly but surely, the project is taking on a life of its own.
[ゆっくりと、しかし確実に、その計画は独りでに動き出している]
独り歩きをする、独りでに動き出す、独自の命を持つ、などなど、いろんな言い回しがありますが、言いたいことは共通していると言えるでしょう。