「look」や「listen」が意識の重点を意図的に移動させるという自分の変化を意味する自動詞なのに対し、「see」や「hear」は感覚器官によって情報を認識するという意味があります。
情報ありきで成立する動作なので、他動詞としての性質を持つ。
Look at that. did you see that?
この文は、「あれに向かって視線を移動させて。あれを視覚によって認知しましたか」という意味です。
感覚器官で情報をとらえ、脳がそれを認識する、それが知覚動作の本質です。
そこから発展した表現方法として「I see.」というのがあります。
「ああ、わかったよ」っていう意味です。
知覚動詞が持つ「脳が認識する」という部分だけを抽出した表現で、五感機能による情報の入手の意味を持たない表現となります。
五感の中で「see」が使われているのは、見るのが認識するのに一番確実だからでしょう。
百聞は一見に如かずってやつですね。
一方で「watch」は同じ見るでも「see」と少し意味が違います。
「watch」は、それがどうなるかを見る、という意味です。
ただ見るんではなく、何かしら変化が起こる可能性があるものを「この後どうなるんだろうか」って意識しながら見るという意味合いです。
けして「じっと見る」という意味ではありませんので、悪しからず。
I saw a cat enter the house.
この場合、その家に猫が入っていくのをたまたま見かけたという意味です。
猫がその家に入っていくという状況が、特に意図せず私の視界に入ってきたというニュアンスです。
I watched a cat enter the house.
この場合、もともと猫を見ていて、どんな行動に出るのか注目していたら、家に入っていった、という意味です。
「watch」が「じっくり見る」という意味じゃないのは、次のことからもわかります。
例えば、絵画を見るというときに「watch」は使わないと一般的に言われています。
「watch」をじっくり見るって覚えている人は、絵画をじっくり見る場合なら使えるんじゃないかって文句を言いそうです。
でも「watch」の本当の正体は「それがどうなるかを見る」なので、絵画に対しては少し変です。
何故なら、絵画は何も変化が起きないため、別にどうにもならないからです。
そのため「watch」との相性が悪い。
逆に言うと、変化が起こる「映像」というものに対しては相性がいい。
テレビ番組を見るときは、この後どうなるんだろうという変化に注目して見ているので、「watch TV shows」となります。
スポーツの試合なんかも、この後どっちが勝つんだろうって思いながら見るわけですから、「watch」を使うことが多いです。