引きこもり英語学習法

素人英語の学習ブログです。

関節疑問文の落とし穴

Why do you think he is lying?

この文章は二つの解釈ができます。

それは冒頭の「why」と動詞「think」の関係性をどうとらえるかがカギとなります。

冒頭の「why」を副詞として捉えて動詞「think」にかかっていると捉えれば「何故○○(従属節)だと思うのですか」という意味になります。

一方で「why」を動詞「think」の対象、つまり目的語として捉えるならば「○○(従属節)なのは何故だと思いますか」という意味になります。

「何故思う?」と「何故だと思う?」の違いです。

 

別の言い方をするなら、冒頭の「why」が主節の動詞「think」と繋がっているのか(何故思う?)、従属節の動詞「lie」と繋がっているのか(何故だと思う?)、ということです。

 

前者の捉え方(「why」が主節にかかっているという捉え方)は「彼が嘘をついていると、何故あなたはそう思うんですか」という意味。

後者の捉え方(「why」が従属節にかかっているという捉え方)は「彼はなぜ嘘をついているのか、あなたはどう思いますか」という意味。

 

前者は動詞「think」の対象となる名詞節を作る従位接続詞「that」の省略、後者は動詞「think」の対象となる名詞節を作る疑問副詞「why」が冒頭に押し出された間接疑問文。

二つの意味の大きな違いは、前者は彼が嘘をついているかどうかは未確定ではあるけれど相手が一人でそうであると決めつけている場合での質問なのに対して、後者は彼が嘘をついていることを両者がともに共通の認識として持っており、その上での質問になっています。

状況によってどっちの意味で言っているのかを解釈しなければならないのは、なかなか初心者泣かせではあります。

 

副詞としての「why」(すなわち主節に対する「why」)の場合、副詞なので直接文の骨組みには関わっていないわけですから、あとから付け足すことで意味を成立させることもできます。

Do you think that he is lying? why?
[あなたは彼が嘘をついていると思うんですか、なぜ?]

一方で「why」が副詞ではなく「think」の対象となっている場合(つまり「why」が主節の動詞の対象かつ従属節にとっての副詞として存在している場合)、その「why」は文章の骨組みの一部となっているので、切り離すことはできません。

その場合、次のように冒頭の疑問詞が完全に動詞の対象として文に組み込まれた構造で尋ねることが出来ます。

What do you think is the reason he is lying?
[彼が嘘をついている理由は何だと思う?]

「What do you think」でまず「何だと思う?」と訊いてから、その「何」に関する詳しい説明を付け加えているという構造の文になります。

この場合「what」は主節の動詞の対象かつ従属節にとっての主語として存在しています。

連鎖関係疑問文です。

 

前者の意味であること(彼が嘘をついているかは不確かだが相手が一方的にそう考えている場合の問いかけ)を明確にする言い回しとして、他にも以下のようなものがあります。

What makes you think he is lying?
[何があなたに彼が嘘をついていると思わせるんですか]

これなら間違いなく前者の意味です。

この言い回しが一番確実で分かりやすい気がします。

同じ「make」を使って後者の意味(彼が嘘をついているのが互いの共通認識となっている場合の問いかけ)を確実に伝えるなら次のような言い方もできます。

What do you think makes him lie?
[何が彼に嘘をつかせていると思いますか]

 

この紛らわしい現象は他の疑問副詞でも起こり得ます。

When do you think dinosaurs became extinct?

これも冒頭の「when」を主節にかかっていると捉えるなら「あなたが『恐竜は絶滅した』っていう風に考えるのはいつなんだ?」という意味になります。

恐竜はまだ絶滅していないって主張している学者に対しては、こういった意味の発言もあり得なくはない。

ただこの場合もやはり関節疑問文と考えるのが普通かと思います。

つまり冒頭の「when」は動詞「think」にとって副詞ではなく行為の対象となる名詞節と考えるのが普通です。

別の言い方をするなら、冒頭の「when」は主節の「あなたは考える」ではなく、従属節の「恐竜が絶滅した」にかかっていると考えるのが普通です。

「従属節の内容をいつ考えるのか」ではなく、「従属説の内容をいつだと考えるのか」という意味です。

恐竜が絶滅したのはいつだと思いますか、って意味ですね。