移動系なのに他動詞「leave」
移動系の動詞はたいてい自動詞が多い。
それもそのはずで、移動っていうのは他者に作用するんじゃなく自分で移動している状態になるという自動性の強い行為だからです。
だから「walk」も「run」も自動詞です。
「go」や「come」が自動詞になるのも同じ理由です。
「go」や「come」も本質は移動を意味している。
行為の主体が「移動している状態になる」という状態変化を意味する自動詞です。
ただ、この移動系の動詞も言い方を変えると重きを置くポイントが変わってくる。
たとえば「いなくなる」という言い方をすると、それはただの移動ではなくなります。
ある場所を起点としてそこからいなくなるという意味です。
つまり主体の状態変化に重きが置かれていない。
起点となるある場所に重きが置かれ、そこを軸にいなくなるという現象が起きます。
本当に消えていなくなるんなら、それは主体の状態変化ですが、この場合そういうことじゃない。
あくまでもある場所を起点にしたときに、移動してその場からいなくなるという意味です。
この場合、起点となる場所があるからこそ「その場からいなくなる」という行為が成立するわけです。
これが「leave」という他動詞です。
「leave」はある場所にいるけどそこから移動していなくなるという、場所に重きを置いた他動詞です。
ただ、本来の「leave」というのは「対象をその場に置いたままにする」という意味です。
その対象を場所にした場合は「場所を置いたままにする」という意味となり、そこから発展して日本語でいうところの「去る」という行為になっているだけです。
We leave Japan tomorrow.
[我々は明日日本からいなくなります]
この文も、感覚的には「日本をその場に置いて去る」って捉えた方が他動詞「leave」の本質に近い気がします。
同じような意味でも、場所ではなく主体の状態変化に重きを置いた言い方として「start」があります。
これは主体が移動せずに止まっている状態から移動した状態へと切り替わるその瞬間に重きを置いた動詞で、移動の開始を意味しています。
あくまでも主体の状態が変化したことを言っているだけなので、場所のことは関係ありません。
なので場所のことに言及する場合は前置詞を伴います。
We start from Japan tomorrow.
[我々は明日日本から出発します]
ただ「start」は移動の開始というだけでなく、もっと広く動き始めるという状態変化を意味しています。
The engine started at last.
[ようやくエンジンが動き始めた]
さらに「start」は、行動を対象にして主体がその行動を始めるという他動詞としての意味もあります。
Then the baby started crying.
[そのとき、赤ちゃんが泣き始めました]
なのでもっと正式に移動の開始という意味での状態変化を言い表す表現として「depart」という動詞もあります。
We depart from Japan tomorrow.
[我々は明日日本を発ちます]
主体の移動の開始という状態変化を表すのが「depart」であるのに対し、移動の終了という状態変化を表す自動詞が「arrive」です。
「arrive at(~で移動を終える)」と「depart from(~から移動を始める)」はセットみたいなもんです。
「arrive」の詳しい解説は以下をご覧ください。
ちなみに、変わることのない確定した未来は、この記事の中で度々出てきた例文のように、現在形で表現されることがよくあります。
特に交通機関などの公な組織の予定が絡む場合は、状況的に変更が効かないという意味で現在形が使われます。